イベント終了間際のお化け屋敷はガラスキだった。
中に入ってすぐ、前回同様、後ろに回り込もうとする小宮山をつかまえてオレはすかさず彼女の隣に並んだ。
今回は背中を貸すつもりなんて全くない。
ビビリの小宮山の手をとって、しっかりと繋ぐ。

「ハイ、いーよ。行こ」

オレらは薄暗いお化け屋敷の中を、恋人同士みたいにぴったりくっついて歩いた。
「こういうのってさ、当たり前だけどふたりで歩くと格段に怖くないね?」
たしかもうすぐ不意打ちがくる。それを覚えてる小宮山が、ぬかりなく左右を確認しつつささやいた。

小宮山がこぼした何気ない言葉を聞いてふと思ったのだ。
オレがいつもそばにいてやれたらな、って。
お化け屋敷の中だけじゃなくて、小宮山が怖い時、不安な時、困ってる時とか。そういう時に、いつもオレが。