「ねえねえ、もういっこあげるよ」

まだ左側に残ってたイチゴをつまんで加瀬くんの口元に持っていくと、コドモのように「あーん」て素直に口を開ける様子がこれまた・・

「わあカワイイ・・」
「カワイイってなんだよ、 やめてくれる!?」

だってホントに可愛いんだから仕方ない。イチゴ食べてる時の加瀬くんの可愛らしさといったらーーー

「あーたまんない」

実は私もそれなりにイチゴが好きだ。
小さな頃は、ケーキにのっかってるイチゴをお兄ちゃんと奪い合って食べてた。
なのにそれが。
自分で食べるよりも、誰かの食べてる顔が見たいって思うようになるなんて。

「んじゃ、ハナシ戻るけど! コレとコレ! どっちか選んで」
加瀬くんが私の鼻先にスマホを突きつける。
「いやいやいや。まだ行けるかどうかわかんないってば」
「それ、いつ決まんの!? てか決める気あんの!?」

「・・もうチョット考えてからネ?」
「あーくそ。オレ、ホントに後チョットしか待てねえからな!」