「あー、そうだそうだ。忘れるとこだった」
ケーキを頬張りながら、加瀬くんがポケットからスマホを取り出す。
「なあ、こことここだったらどっちがいい?」
見せられたのはビジネスホテルの客室画像。

「こっちはふつうのダブルベッドで、こっちのはキングサイズだって。小宮山、どっちが好き?」

どっちの部屋も、真ん中に大きなベッドがドカンとひとつ。
なんていうか。スッゴイ露骨だ。
客室をダブルにするか、ツインにするかって選択をすっとばして、その先を聞いてくるところがなんとも加瀬くんらしかった。

「ねえ、小野先生はどーすんの? バレないようにする方法みつかった?」
「いや、それはまだ・・」

「じゃ、そこんとこがちゃんと決まってからのハナシだね」
「いーや。部屋だけは先にとっとくの!」