さくさくと松原の砂の上を歩く。
コンビニで買ったケーキの袋をぶら下げて。

「あのへん座ろーぜ」

加瀬くんと、松の木陰に並んで座った。
今日はカラリとよく晴れていて、空も海もくっきりと青い。11月のはじめとは思えない暖かさだ。

「おめでと」

ってガサガサと袋から取り出されたのは、2〜3人分はありそうな、大きなイチゴのケーキ。加瀬くんからのプレゼントだ。

数日前、私は17歳になった。

「ホントにこんなんでいいのかよ」
「いいよ、私もあげてないんだし。十分十分」

加瀬くんの誕生日は5月。
その頃はまだつきあってなかったし、もちろんお互いの誕生日がいつかなんてことも知らなかった。