「私、加瀬くんに何されてもあんまり怒れなくてさあ。それがイヤであの日はあえて怒ってみたんだけどーーーでも、さっきのケンカでちゃーんと怒れて安心したわ。あんなの初めてだったけど・・」
しみじみとふたりの修羅場を思い起こす私に加瀬くんが震えた。
「オ、オレはもう思い出したくない・・」

青い顔をした加瀬くんが私を抱き寄せて、そおっとほっぺに鼻を滑らせる。

「小宮山は甘いまんまでいてよ」
「ウン」
「もう二度と怒らなくていい」

それから加瀬くんはオデコにひとつ、キスをくれた。
「オメデト、小宮山。それからオレのこと好きでいてくれてアリガト」って。