全く反省する様子のない加瀬くんが、少年のような可愛らしい笑顔を浮かべる。さっきの加瀬くんとのギャップに打ちのめされて、私は文句を言うのを諦め早々に口をつぐんだ。

「アレ? もう怒んないの?」
「怒れないよ・・」

だって、どんなことされても結局イヤじゃない。好きなんだもん。

「クレープ食べた日ね? あの日、ホントは怒ってなかったんだ」
「ウン。なんとなくそーかなって思ってた」
「うっそ、わかってたの!?」
私が目を丸くして驚くと、加瀬くんはへへへって照れくさそうに頭をかいた。
「いや、小宮山が帰ってった時は本当に慌てたんだけど・・」

あの夜私が送った『おやすみ』が『好き』に思えたんだって加瀬くんが言う。
それであの後、たぶん大丈夫って安心して寝れたんだ、って。

「そーなんだ・・わかるもんなんだね、そーいうのって」
「当たってた?」
「ウン、だいたい当たり。ホントは『会いたい』って書きたかったんだけど・・」

それを聞いて加瀬くんは「『好き』でも『会いたい』でも一緒!」って言って、自分のヨミの鋭さを鼻高々自画自賛した。

確かに。ホントに大正解だと思う。