そっと小宮山の手を取って、呟いた。

「ゴメン。小宮山の気持ち、一番大事にしなきゃいけなかったのに」

それができなきゃどうなるか。
小宮山の気持ちを失っちゃったらたらどーなるのかを、今、オレは身をもって体験している。

「小宮山のことなくしちゃったら、オレの大事なものが全部なくなる・・」

ハルキのことなんてもうどうだっていい。
小宮山を失うかどうかの瀬戸際に立ってみれば、小宮山のこと以上に重要なことなんていっこもなかった。

「なあ、オレどうしたらいい? どーしたら小宮山はオレのそばにいてくれるの?」
小宮山の手を握りしめて必死で小宮山をみつめる。
「オレ、小宮山のことなくしたくない」

そしたら小宮山がすとんとオレのそばに戻ってきた。

「私のこと好きでいてくれるだけでいいよ」
「・・それだけ?」
「そーだな・・あとは私のことちゃんと信じてほしい」
「うん」
「そしたら他には何もいらない・・」
小宮山がオレに腕を回してきゅって抱きついた。
「私だって加瀬くんのことなくしたら何にも残らない」って。