あからさまにホッとした表情を浮かべる加瀬くんが義務を果たした安心感からか「はあっ」って安堵のため息を漏らす。

なんだ、これはーーー

忘れるなんて大ウソ。そんなのできっこない。
私のことだってきっと本当には信じてもらえないのだろう。

その瞬間、私の心にざあっと冷たい風が吹き込んだ。
その風量はどんどんどんどん増してゆき、ついにはココロの温度をすっかりと失わせてしまう。

なるほど、心が凍り付くってこういうことか。
ああ、もう涙出そう・・

「もういい、わかった。別れよう」
「エ!?」

驚いてガバッと顔を上げた加瀬くんの表情が辛そうに歪む。

「ーーーハルキのとこ、いくの?」

もうダメだって思った。
今度こそ本当に。完全に。