その日の放課後、私と加瀬くんは人気のない部室棟を並んで歩いていた。
加瀬くんが部室に誘ってくれたのだ。ふたりで話がしたいって。

隣を歩く加瀬くんはずーっと黙ったまんま。
だけど仲直りしたいって思ってくれてることはわかってたから、私は安心して彼の隣を歩いていた。

ガラガラと五月蠅いドアを開けて、お休みの日のしんとした部室に足を踏み入れる。私を壁際のベンチに座らせてから、加瀬くんが寄り添うように隣に座った。

マジメな顔をした加瀬くんを見て、きっと大丈夫だって思った。
ちゃんと仲直りできる。
私の気持ちだって絶対にわかってもらえる。
私はそう信じて疑わなかった。