そんなオレに、ハルキがおずおずと声をかけてきた。

「加瀬くん・・チョットいい?」

いいわけない。
今ハルキと話す余裕なんかどこにもない。
ちなみにオレには、滲んだ涙をぬぐう余裕もなかった。
「今、小宮山と話してんだろ!? オマエは後!」
ハルキの顔が視界に入った途端、悔しくて余計に鼻がツーンてしはじめる。じわーっと目尻に盛り上がった涙がついにぽたぽたとこぼれはじめ、オレの惨状にギョッとなったハルキが慌てて腕をつかんできた。

「バカ、泣くな。さっきのアレ、ウソだから!」
「・・・・・・エ?」

「あれはデタラメ」
「・・・・・・ん?」

オレは真っ白な頭に「?」を飛ばしつつ、ずずっと鼻をすすった。

***