ハルキの返事を待たずに小宮山に向き直ったオレは、小宮山の腕をつかんでまあるく見開かれた目をのぞきこんだ。

「オマエはいつコイツの彼女になったの?」
「あ、いや、えっと・・」
「オレ、なんも聞いてねえ!!」
「まってまって、ちゃんと話すから」

小宮山にそう言われてハッとなる。

ちゃんと話すって、何を・・・・?

オレは小宮山の言葉に怖気づいた。
このタイミングで打ち明けられる話って、一体何!?

「い・・いや、いい。やっぱ聞きたくない」
臆病風に吹かれたオレは、耳を塞いでなんにも聞かない方向へシフトチェンジ。
「えええ、なんで!?」
「なんでもクソも絶っっ対聞きたくねえ。ヤなもんはヤだ」

「か、加瀬くん、あのねえ・・」
焦って何か言おうとする小宮山をオレはムリヤリ遮った。
「ヤだっつってんだろ!! 聞かねえからな、絶対!!」

だって別れ話だと思ったから。
オレの知らないどこかのタイミングで、小宮山がハルキのものになっちゃったんだと思った。
それを今から告白される、そう思った。

だけど絶対に別れたくないオレは必死で小宮山に訴えた。
「イヤだ。オレ絶っっ対、別れねえ!!」
ここが公共の場であることも忘れてガバっと彼女に抱きついて、5歳児のようなレベルの低い駄々をこねる。

「ーーーとにかく、イヤだッッ!!」
「あ、あのね・・だからあーーー」