船入駅を出てぐるりと周囲を見渡すと、ロータリーに小宮山とハルキの姿があった。
だけど何かおかしい。様子がヘンだ。

なにあれーーーケンカ??

オレに背中向けてるハルキが、地面にヘタレてるオッサンに叫ぶ。
小宮山のこと『オレの彼女』って、『すみれ』って呼び捨てにして。
それからハルキは小宮山の腰に腕を回して、堂々と彼女を抱きよせた。
そしてその直後。

「!??」

なぜかオレまでがハルキに拉致られたのである。

人気のまばらなホームに出たところでハルキはオレらを解放して、緊張の糸が切れたみたいに、膝に手をついてガックリとうなだれた。小宮山も妙に疲れた顔してため息なんかついてる。
オレだけが、一切この状況がわからない。

「なあ、今の何!?」
オレはまず、ハルキに詰め寄った。
「オレの彼女って何!?」
「ああ、ゴメンね、加瀬くん。助かったわ、黙っててくれて」
「イミわかんねーこと言うな! さっきのアレなんだよ!」