ワケがわからなかった。
目の前で何が起きているのか。
なんでオレまでハルキに腰を抱かれているのかーーー

時を遡ること数十分前。
オレはぎゅうぎゅうの電車に揺られて、学校へと向かっていた。
途中イヤホンにLINEの受信音が響く。送ってきたのは小宮山。
『春樹くんのお父さんが駅で酔い潰れてる』
『お母さんが迎えに来るまで、春樹くんと一緒にお父さんを見てようと思う』
『ちょっと遅刻する。ゴメン』
て、簡単なメッセージが何個か届いてた。

「・・・」

律儀な彼女はケンカしてても、こうやってちゃんとオレに連絡してくれる。ハルキ絡みってのが気に入らないけど、事情が事情だ。仕方ねえ。
オレ、全然大丈夫。

だけどそのまま学校へ行く気にはなれなくて、オレは門島を乗り過ごして小宮山のいる船入に向かった。