近づいてみるとムチャクチャ酒臭い。
服も髪もぐちゃぐちゃでボッサボサ。
近くで見るお父さんはとにかくひどい有様だった。

だけどそんな状態でも春樹くんにソックリなお父さんはすんごいイケメンで、酔ってさえいなきゃビックリするようなダンディなオジサマに違いなかった。

「だいじょうぶ・・?」
恐る恐る声をかけると、春樹くんは困りきった顔して力なく苦ーい笑いを漏らした。
「大丈夫。今、母さん呼んでるから、そのうち迎えが来ると思う」
「そっか」

私たちが話している間に眠ってしまったのか、お父さんはロータリーの柱にもたれて動かなくなってしまっていた。足元には、空のカップ酒の容器がいくつも転がっている。
「たぶんゆうべからずっと飲んでんだわ」
ボソボソとつぶやく春樹くんが潰れたカップをつまんなそうに指ではじいた。
「飲みすぎだろ。どんだけ飲みゃ気が済むんだよ・・」
「まさかぶっ通しで飲んでたの?」
「飲む飲む。こんなん普通だよ。だいたいボトル抱えてそのまま潰れてんだけどさ、今朝は家にいねーし珍しいなって思ってたんだ。したら駅にいてさあ・・ビビったわ」