帰りの電車の中。
ごはん食べてる時。
宿題してる時。

加瀬くんから「ゴメン」っていくつもLINEがきたけれど、既読だけつけて私からは何も返さなかった。

少し反省してもらおう。
やっぱ怒るべき時には、怒らなきゃいけない。
少し胸は痛んだけれど、これでいいんだって自分に言い聞かせてベッドにもぐりこんだ。

真っ暗な部屋の中。
煌々と光を放つスマホの画面にたくさん並んだメッセージ。

加瀬くんのくれた『ゴメン』を眺めながら考えた。
加瀬くんには今夜一晩シッカリ反省してもらって。
そしたら、明日は朝一番で仲直りをしよう。
もう気にしてないよって言って、怒ってゴメンねって謝ろう。

ふと、加瀬くんに会いたくて、声が聞きたくてたまらなくなった。
私が帰っちゃったから、結局加瀬くんの『好き』は聞けずじまい。

ーーーああしまった。今聞きたい。

トーク画面の通話ボタンを凝視して、暫く逡巡を繰り返す。
散々悩んだ挙げ句、私は加瀬くんにひとつだけメッセージを送った。
メッセージを送信した後は、すぐに電源を落としてスマホを枕の下に突っ込んだ。

その夜は、いつもよりずっと、加瀬くんのことばかりを考えて眠りについた。

***