「怒ってる」って言った小宮山はそのままベンチからすっくと立ち上がった。
つられてオレも腰が浮く。

「ど、どーしたんだよ。なんで立つの??」
「もう帰る」
「帰る!?」
クレープ持ったままオレは慌てた。
「だーれもいないトコは!? 行かねえの!?」
「行かない。今日は先に帰るね」
って小宮山がオレをおいて歩き出そうとする。

「チョットまて! オレも帰る!」
って言うオレの手元に視線を投げて、小宮山は淡々と言い放った。
「加瀬くんはも少しここでクレープ食べてなよ。じゃあね」
小宮山はくるりとオレに背を向けて、スタスタと帰って行った。
呆然とその後ろ姿を見送るオレ。


『そんなんじゃいつかきっと彼女さんに愛想尽かされますよ? 心が離れていっちゃう』


いつか早坂に言われた言葉が頭をグルグルと回る。
そのいつかって・・もしかして、今?

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