「小宮山先輩」
「はい?」
「加瀬先輩が小宮山先輩のことわざと煽ってたの、気づいてました?」
「・・?? それはどーゆうイミ?」

女子ふたりの視線が一気にオレに突き刺ささって気マズさが半端ない。

「ヤキモチやいてほしいんですよね? ねー、先輩?」

ああ。

オレのことはそっとしておいてほしいのに。
絶対にバラしてほしくない秘密を、早坂に容赦なくバラされる。

「加瀬先輩がコソコソ何してたか知ってますか? たとえばねーーー「ま、まて、早坂! その話はまたにして、頼むから!」

拝むようにして早坂を黙らせる。
これ以上何も言ってほしくない。もう一言だってイヤ。
苦し紛れに小宮山のクレープの一番トロけてるトコを指差してみせる。

「見ろよこれ! 小宮山のクレープ駄目にする気!?」
「たしかに・・ユルくなってますね、クリーム・・」
「な? オマエらもう帰って?」

小宮山がチンタラ食ってたせいで元々こんなモンだったことを、早坂は知らない。
小宮山のクレープに気を使って、ふたりはさっさと帰っていった。

「じゃーね。バイバイ」

早坂と飯田に手をふるオレの背中に感じる小宮山の冷たい視線。
恐る恐る振り向くと、小宮山が目を細ーくすがめてオレを睨んでいた。

「加瀬くん、ワザと煽ってたって本当?」
「ええっとーーー」

***