そしてあっという間に迎えた撮影日。
動画の撮影は滞りなくスイスイと終了した。

無事にぜーんぶ終わったことを祝して、現在オレと小宮山は駅前の商店街にクレープを食いにきている。
店のすぐ脇、微妙に空いたスペースを埋めるように置かれた小さな白いベンチ。
オレの隣に座ってイチゴがたっぷりのっかったクレープを食ってる小宮山の顔は、スッキリ、晴れ晴れとしていた。

「あーおいしい。クレープはやっぱイチゴだネ」
「くっそう、オマエいきなり機嫌よくなったな!」

小宮山がなんでこんなご機嫌かっていったら、オレと早坂との関係がヤキモチやかなきゃなんないほど親密じゃねえ、ってのがバレちゃったからだ。
オレの目論見に勘づいた早坂の態度が劇的に悪くなったせいで。

だけど、ご機嫌の小宮山とは対照的にオレは不機嫌だった。
結局小宮山は、オレが期待するほどヤキモチを焼いてくれなかったから。
「なあ、オマエのヤキモチはどーなっちゃったんだよ? 焼くのやめたの?」
「やめた。だーって大丈夫そうじゃん? へへへ」
嬉しそうに顔をほころばせる小宮山に、フツフツと不満が湧き上がる。
「ズルい!! オレはまだ全然足りてねえ!」
「あっそう。でも私はもうおなかイッパイ」

オレは小宮山の、この甘っちょろい言い草にモーレツにハラが立った。小宮山は普段オレがどんだけハルキに妬いてるかをまるでわかっていない。