一方、早坂はオレの目的に薄々気がつきはじめていた。

「先輩、もしもそれがワザとなら、やることがクズすぎて吐き気がします」
早坂は可愛らしい顔に似合わず口が悪い。
「そういえば、私に彼氏いること彼女さんに伝えてもらえました?」
「えーっと。ドウダッタカナ・・」
「言う気がないんでしょ。ホンっトに最低」
大きなくりくりした目を極限まですがめてオレを睨み、早坂が至極真っ当な抗議を口にする。
「そんなんじゃいつかきっと彼女さんに愛想尽かされますよ? 心が離れていっちゃう」
早坂の呪いみたいな言葉が深々胸に突き刺さる。

んだけど、まだ大丈夫。
ホントに大変なことになる前にやめればいい。
だってオレ、本気で小宮山を傷つけるつもりなんてないんだから。
胸の中で色々言い訳して、オレは彼女の忠告を頭から追い出した。