オレが廊下に出るとすぐ、資料を抱えた早坂が生徒会からの伝言と作業の進捗についての報告をはじめた。

「ええっと、生徒会からの注文が何個かありましてーーー」

生徒会とやりとりするのは本来ならばオレ。なのにそれを1年の早坂にやらせてんのは、早坂のバックに飯田がついてるから。9月に交代したばかりの新副会長・飯田は早坂にすんげえ甘くて、至れり尽くせりで面倒見てくれる。その恩恵は保健委員全体に及び、飯田の甘やかしのおかげでオレらは普通じゃ考えられないようなラクをさせてもらってた。

「ーーーじゃ、そーゆうことで。失礼します」
「オイ、ちょっとまて」

さっさと帰ろうとする早坂をひきとめて声をかける。
委員会の仕事なんかどーでもいい。オレが彼女に用があるのはこれからなのだ。