ところが、ギリギリと怒りを滾らせるオレを見て小宮山がふふふと笑うのだ。
「たぶん悪意なんてないよ。加瀬くんのことが気になってチョッカイ出してるだけだよ、きっと」
「ハア!???」
「男の子が気になる女の子に絡むやつね? あれと一緒だよ」
ぞぞっと鳥肌が立ってオレは思わず腕をさすった。
「気味悪いことゆーなよ。んなワケあるか」

ところが。

「オオオ、オレが・・気になるの・・?? ホントに?」
「そう。だからついやりすぎちゃった。ゴメンね」
我慢できずにハルキにブチ切れに行ったら、ヤツはあっさり自分の非を認めて謝ってきた。
色々開き直ってなんだか泰然自若としてきたハルキがアハハって笑う。
「眩しすぎてつい嫉妬しちゃうんだよね。オレ、加瀬くんのこと嫌いじゃないよ」

「オ、オレがまぶしい・・ってどーゆうイミだよ??」
混乱するオレにふたりがソックリな顔をして微笑む。
「わかんなくていーよ。むしろわかんねーほうが加瀬くんらしいし」
「だよね。ほんとそう」
ちょっと切なげな、なんとも言いようのない不思議な表情をしたふたりがオレをみつめて仲良く頷き合う。

だけどオレにはコイツらの言うことが何ひとつわからない。

「わかんなくていい」って何だ。
「だよね」って、「ほんとそう」って・・・・何が??

考えることも、言うことも。
それを話す顔つきまでソックリなふたりの凄まじいシンクロっぷりをこれでもかってほどみせつけられて、やっぱりいつもオレだけが蚊帳の外。
カッコ悪いから必死で平静を装うけれど、ドス黒い嫉妬が渦巻くオレの胸の中は今日もエライことになっていた。

こんなふうに、オレは未だにこの二人の関係にヤキモチを焼いている。
小宮山が早坂のことで少々ヤキモチ焼いたからって、その量はケタ違いだ。
オレのほうが妬いてる。圧倒的に。