まさか、小宮山がヤキモチやいてるなんて思ってもみなかった。
ちなみに今回のはやくだけムダなやつ。保健委員の後輩早坂には、ちゃんと彼氏がいる。

んだけど、ムダだろーがなんだろーが、そんなもんオレには関係ない。初めて『妬かれる側』にまわったオレはもう嬉しくて嬉しくて、フワフワと足取り軽く、浮かれまくりながら駅へと向かった。
ヤキモチってやつは、焼く側にまわるのは御免だけど、焼かれんのはスゲー気分がいいものなのだ。

ご機嫌のオレは小宮山を連れて意気揚々と下りのホームに立った。オレの使う上り線は陸橋を渡った向こう側のホームだけど、オレがあっちへ渡るのは予告音が鳴りはじめてから。それまでは小宮山と一緒に下りのホームにいるのがオレの習慣。

ここでもオレはヤキモチをネタにして小宮山がむくれてヘソを曲げるまで彼女をイジリ倒した。
気分よすぎて。

が、しかし。

改札を抜けてこっちへ歩いてくるハルキの姿が目に入った途端、さっきまでのイイ気分が一瞬のうちに消し飛んでゆく。
不愉快も不愉快。ハルキの登場とともに、今日もまた、とてつもなく不快なひと時がオレに訪れるのである。