「加瀬え、急にヤル気出たなあ」
オレの図案を見て機嫌良さげに頷く小野。
「面白いな、これ!」

調子を取り戻したオレはなかなかに好調だった。

「ご機嫌じゃん、小宮山とうまくいったの?」
「まーね」
部室のすみで簡単に翔太に報告しとく。
つってもその内容はほとんどノロケだ。
「あームカつく。フラれりゃよかったのに」
「へへへ」

そんな話をしてたオレらと逆側の部室の端っこで、波田と寺松がやたら盛り上がっている。
気になって聞き耳をたててみれば、やつらの会話の内容は『小野にバレないように、ロボコンで彼女と一泊する方法はないか』というものだった。

ガバリと顔を上げたオレの胸はコーフンで高まっていた。
そんなコトができんのか。
それならオレも小宮山と泊まりたい!

「なあ、それどーやんの!?」
勢いよく立ち上がり、食い気味に声をかけるオレの姿に周囲から失笑がモレる。

「オレもしてえ! 一泊!!」

7人いる中で、彼女持ちはこの2人とオレの3人だけ。ロボコンまでになんとかウマイ方法みつけようぜ、って頷きあう。

その翌日。
オレは小宮山をつかまえて、さっそく泊まりのハナシをもちかけた。
「泊まる!? って、ふたりで??」
「あったりまえだろ」
「そ、そう・・泊まりねえ・・うーん・・」
小宮山の反応が薄い。というかあまりよくない。
「アレ? たのしくない??」
「たのしいとは思うよ? だけどさ・・」

たぶん今、小宮山が想像してるであろうことは、まるごとアタリだ。
だから小宮山にはオレの下心を隠さず伝えておくことにする。