それからまた数プリに視線を落として、すんごいスピードで問題を解きはじめた加瀬くん。
ほんのちょっと前に一瞬だけ漂った甘い雰囲気なんて、もうどこにもなくなっていた。

あああああ・・私ってバカ!!

プリントにシャーペンを走らせながら猛烈に後悔する。
しまった。つい、逃げちゃった・・!
こんなことしてたらますますメンドクサイ女だと思われてしまう。

久しぶりに私に興味を示してくれたのに、って思うと悔しくて。
潰れんじゃないかってほどキツーくシャーペンを握りしめて私は後悔に震えた。

できれば私もキスしたかった。
だけどさ、加瀬くんの場合はとにかくTPOが問題なのだ。

だって、ホラね。今だってーーー