「あのさ」「あのね」
って同時に顔を上げたオレら。
声がかぶったことにビビってお互いの顔色を窺いまくる。
「小宮山、先しゃべっていーよ」
「いやいや、加瀬くんからドーゾ」
なんつって譲り合った挙句、小宮山はオレにムリヤリ発言権をなすりつけてきた。
「オマエ、ずっる!」
「だ、だって・・」
しょうがねえからオレからいく。
ホントは『オレのこと嫌んなっちゃった?』って聞こうと思ってた。
んで、オレが好き放題してたことをちゃんと謝って、もう絶対ヤラシクしませんて約束するつもりだったのに。
心からの反省が足りてなかったのか、口よりも先に手が出ちゃったオレ。
小宮山のやらかい頬に手を添えて、彼女にそーっと唇をよせていた。
だけど、それが届く前に、大慌てで身体を後ろに仰け反らせた小宮山に逃げられてしまう。
「加瀬くん、い、今ムリ!!」
キッパリ拒否られて、目え逸らされて、いつになくデリケートになってたオレのココロはポッキリと折れた。
落ち込んでうつむいちゃったオレを見て小宮山が慌てる。
「ゴ、ゴメン。違う! そうじゃなくてーーー」
「や、いい。オレこそゴメン。もうしない」
「まってよ、あのね・・」
何か言いたげな小宮山を無理矢理遮って話を逸らした。
「いーって。気にすんな。それより数プリやろーぜ」
「ウ、ウン・・」
***