みっともねえの承知で、翔太にオレらの・・ってかオレの危機をうちあける。
小宮山がキスさせてくれない、それにオレたぶん避けられてる、って。
それからこんな風になっちゃったいきさつも。

机の上に腕を組んでオレの話をマジメに聞いてくれた後、翔太が「うーん・・」って首ひねりながら口を開いた。
「小宮山って結構デリケートなんだなー。女子ってみんなそーなの??」
「さあ」
「ちょこっとキスしてるとこ見られただけなんだろ? あんま気にすんなって言ってやれば?」

「・・・」

そんなことはとても言えなかった。
だってホントは。
オレがしてたのはちょこっとどころじゃないエッロいキスだったし、子供のクダリはまだ途中で全部話してない。
黙り込むオレの様子に気づいた翔太が不審そうにする。

「まだなんかあんの?」
「ーーー実はさ。さっきの話、もうチョット続きがあんだよネ・・」

オレらのちゅーを母親に報告した子供は、更にこう続けた。
あのおにいちゃんホントは吸血鬼だよって。おねえちゃんは血をすわれて「いやん、やめて」って泣いてた、って。
更にアレコレとオレらの様子を事細かに・・意味も訳もわからないままあけすけに報告する子供。それにつれ、母親の様子があきらかにおかしくなってゆく。
オレらは後ろを振り向くのが怖くて、黙ったまま早歩きでそこから逃げた。んで、公園を出たところで小宮山が崩れ落ちたのだ。
こんなに恥ずかしい思いをしたのは生まれて初めてだ、つって。