狭い部室の中、男8人がテーブルをぐるりと囲んで座る。

長い会議用テーブルにズラッと並べられているのは、各自が考えてきたアーム部分の設計案だ。それに1枚だけほとんど白紙のショボい図案が混ざってる。

やべえな、白すぎる。
浮きまくってんじゃん、オレの図案。

そしたら案の定、「オイ、誰んだよコレは!」って小野がオレの図案を拾い上げて、ヒラヒラと揺らしてみせる。

「スミマセン、オレのです」
「どーしたよ、加瀬。やる気出ねえなあ、ここんとこ」
「はあ」
「なんか悩みでもあんの?」

ーーーある。
今、スゲー悩んでる。

めんどくさがりのくせに面倒見がいいっていう矛盾した性格の小野が心配してくれんだけどまさか今ここでオレの悩みを打ち明けるわけにもいかなくて、「なんもナイです」って言ったら窓際にゴチャゴチャとおいてある机のひとつをアゴでしゃくられた。
課題をサボってきたやつは、あそこでそれを取り返すことになっているのだ。

ひとりミーティングを抜けたオレは、窓際の隅、落書きだらけのボロい机に移動して高さの合わないチグハグな椅子にドカッと腰をおろした。じいっと図面を眺めてみんだけど、やっぱなーんも浮かばない。

調子が出ない。
っていうか集中できない。小宮山のことばっか考えて。