その日の帰り道。
「なあ、アレ教えて。小宮山がスゲー勢いで佐々木の口塞いでたやつ! あれ、聞きたい」
駅まで続く真っ直ぐな歩道。夏蜜柑の街路樹の脇を歩く加瀬くんがわくわくと私をみつめる。
「えーっと。なんだっけかな・・忘れちゃった・・」
「んじゃ、思い出して。今スグね? ねえ、思い出した?」
意地でも聞くつもりだ。
こうなったら加瀬くんはもうテコでも動かない。シラを切るのもムダな気がしてさっさと白状しとくことにする。
「カッコイイ、って言ったの」
「へへへ」
私の口を割らせて満足した加瀬くんは、気持ちよさそうに、まだ入道雲の残る青い空を仰いだ。「オレ、がんばろう」って。
「なあ、ロボコン見に来てよ」
「んーー。行きたいけど、ちょっと遠いよねえ。会場まで往復何時間? 日帰りできんの?」
「知らない。だけどそれでも、できたら来てよ。オレ、がんばるからさ」
「ウン、じゃあ考えとく」
***
「なあ、アレ教えて。小宮山がスゲー勢いで佐々木の口塞いでたやつ! あれ、聞きたい」
駅まで続く真っ直ぐな歩道。夏蜜柑の街路樹の脇を歩く加瀬くんがわくわくと私をみつめる。
「えーっと。なんだっけかな・・忘れちゃった・・」
「んじゃ、思い出して。今スグね? ねえ、思い出した?」
意地でも聞くつもりだ。
こうなったら加瀬くんはもうテコでも動かない。シラを切るのもムダな気がしてさっさと白状しとくことにする。
「カッコイイ、って言ったの」
「へへへ」
私の口を割らせて満足した加瀬くんは、気持ちよさそうに、まだ入道雲の残る青い空を仰いだ。「オレ、がんばろう」って。
「なあ、ロボコン見に来てよ」
「んーー。行きたいけど、ちょっと遠いよねえ。会場まで往復何時間? 日帰りできんの?」
「知らない。だけどそれでも、できたら来てよ。オレ、がんばるからさ」
「ウン、じゃあ考えとく」
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