チョコを食べ終わった加瀬くんが前を向いた後で、隣の冨永くんがこっそり話しかけてくる。

「オマエら、坂川のお化け屋敷行ったの?」
「ウン」
「ふうーん」

意味ありげな表情でニヤニヤしはじめる冨永くんの様子に、私は思わず目をそらした。何を言われるかがなんとなくわかったからである。

「加瀬のこと、マジメに考えてやることにしたの?」
「な、なんのこと?」
「つきあってやんのかってこと」
「・・・」

痛みまくる胸を根性でスルーして、いつものしらんぷりを決め込む。

「なに言ってんの。そんなんじゃないし、私ら」
「いやいや、小宮山こそ何言っちゃってんの。アイツにはそんなつもりしかナイでしょ? 小宮山だってわかってんでしょ?」

「ーーーそんなことない、私たちトモダチダヨ」
「・・あっそう」