「もうキスしていいかな?」
「いいんじゃない?」
「・・そーだよな。していーよな。ウン」

「・・・」

もういい。
もう全然キスしていい。
なのに今度はーーー

「くっそー、今度はコッチが気になる!!」

ハルキが勝手にもってった小宮山の右側の耳たぶ。
ここだけが治外法権持っちゃったみたいに、手が出しづらくなってしまった。
「どうしよ、こっち側・・」
耳たぶつまんではあってため息つくオレに小宮山がムッとする。
「そんなに嫌そうにしないでよ。そこだって私の一部なのに」
「いや、違う。コレはオマエのモノのようであって、実はオレのモノなの! なのにアイツが勝手に・・くそー、ハラ立つううう!!」

ゼータクな悩みだってのはわかる。
もしもオレが小宮山の二人目や三人目の彼氏だったら、耳たぶがどーのとか小さいことは言ってらんない。

ーーーだけどなあ。

「・・やっぱ今日はムリ」
「あっそう。じゃ、花火みよっと」

こういうとこ、割とドライな小宮山。
さっさと切り替えてりんご飴を袋から取り出そうとしはじめるから、慌てて小宮山の左側に座り直して袋の口をおさえた。

「ちょっと待て。アッチが無理なだけでコッチは大丈夫!」