そして花火大会当日。

バイトの最終日は普段の営業とは全然違ってて、出店準備の仕上げのような内容だった。終わりの日の余韻など一切ない。ただでさえ短い4時間がバタバタと一瞬で終了してしまった。
最後にヒロちゃんに呼ばれて、生まれてはじめてのお給料をいただく。

「みんなありがとう。とっても助かった」

入ってみてからわかったことだけど、ホントは単発のバイトなんかじゃなくて、ちゃんと長く働いてくれる人を探したほうがよかった。
なのに、バイトしたいって騒ぐマナにヒロちゃんが折れる形で、こんなことになっちゃったようなのである。
私たち3人ともバイトは初めてで、きっとたいしたことは何もできなかったはずなのに、それでもヒロちゃんは私たちを心から労ってくれた。

「みんなは花火見に行く? よかったらウチのお店にも顔だしてね」

ニコニコと微笑むヒロちゃんに挨拶をしてからスタッフルームへ。
エプロンとキャップを返して、全てが終了だ。

マナは今日も店に残る。
結局コウくんへの告白は保留らしい。