それから私たちはどうでもいいことをあれこれと話しながら、のんびりと夜の海を眺めた。ふたりですごす時間は楽しくて、私たちが電車に乗って坂川を出たのは、もう随分遅くなってから。

坂川のひとつ隣、南坂川で加瀬くんが先に下車する。

「バイバイ、小宮山。気をつけて」

私はその後、ひとりで駅4つぶん電車に揺られた。ほんわりとあったかい気持ちに、ふわふわ浮かれながら。

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