オレが消しゴムわけてやった翌日、小宮山がチョコの小袋をいくつかつけて新品の消しゴムを返してきた。チョコがオレの好物だって思ってる小宮山は、こーゆう時、必ずチョコをおまけにつけてくるのだ。

3限が終わった後の休み時間に、さっきもらったばかりのチョコをチラつかせてオレはドキドキと彼女を誘った。「小宮山、これ食わねえ?」って。

「ウン、食べる!」

こうやって誘えば小宮山は絶対にオレのことを断ったりしない。
だけど、「じゃあ、手え出して?」って言ったらそれには必ず難色を示される。

「えええ、またそれか・・」

乗り気じゃない小宮山の手を勝手につかんでザザッとチョコを流し込むと、手のひらにどっさり盛られたチョコをみつめて小宮山が複雑な顔をする。
「あのねえ。美味しいし、嬉しいんだけどーーー」
優しい性格の小宮山が慎重に言葉を選ぶ。
「本格的に暑くなる前に、こーゆうのやめたいんだよね。もう」
「じゃあ、チョコじゃなくてグミならいい?」

「・・そーいうことじゃあ、ないんだよねえ・・・・」