春樹くんは自分のことが好きじゃない。
そう思い込んじゃった詳しいいきさつはわかんないけど、『自分は人から好かれない』ってかたーく思い込んでる。

「それ、ホントかなあ」
「ウソじゃねえよ、ホントだよ。オレは人から好かれない」
「そんなことない。だって私、春樹くんのこと好きだよ。大切な友達だって思ってる」

春樹くんの信じる自分についての『事実』。
それが実は嘘っぱちのマガイモノだったとしても、春樹くん自身はなかなかそれに気づけない。自分が当たり前だと思い込んでることを、私たちは改めて疑ってみたりしないからだ。

例えば、こんなふうに指摘されても、まあピンとこない。
だいたいチョット首ひねって、スルーして終わりだ。

だからこそ、あえて疑ってみてほしいと思うのだ。
春樹くんが『誰にも好かれない』なんて悲しいことが、そんなのが本当に本当の春樹くんの真実なのか、って。

春樹くん自身が気にしてないなら構わない。
だけど、自分のことをそんなふうに言っちゃう春樹くんは、とってもとっても苦しそうだったから。

だから、ずーっと気になってた。
そんなに苦しいことを放置したままじゃ、おそらく上手に前へは進めない。

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