ついにカフェでのアルバイトも残すところ後一日となった。
明日がいよいよ最終日だ。

バイトを終えて裏口から外へ出ると、そこにはなぜか、いるはずのない加瀬くんがいた。

「午後のシフトって言ってなかったっけ?」
「ゆうべ急に交代頼まれたんだ」

アルバイトを始めてから少し日焼けした加瀬くん。
「んじゃ、帰ろーぜ」ってニコニコと手を繋がれたタイミングで、私は恐る恐る口を開いた。

「加瀬くん、お願いがあるんだけど・・」
「なに?」
「まず絶対に別れるって言わないって約束して」
「えーー・・、なにソレ・・」
嫌~な顔をしはじめる加瀬くんの手を握りしめて頼み込む。
「お願い、まずウンて言って!」
「・・どーせハルキだろ。絶対そーだろ」
「ねえ、ウンは?」
「・・・」

返事を渋る加瀬くんにゴリ押して、無理矢理「ウン」を取り付けた私はさっそく本題に入った。

「春樹くんと話したい。一回だけでいいから」
「やっぱりね!」

***