裏口で合流した後、私たちはよく一緒に松原へ行った。
真夏の海は当然のように暑いんだけど、松原の居心地は悪くない。松の木陰と海からの風がとっても気持ちいいから。
一緒にお昼を食べたりしながら、私たちはここでのんびりと午後をすごした。

「なあ、アイツどう?」
「ウン。色々がんばってるよ」

「春樹くんはさ、優しい男になりたいんだって」
「ふーん」

私と違って勇気と行動力のある春樹くん。
このままスイスイ立ち直っちゃえるんじゃないかって思ったりもしたけど、やっぱそんなに簡単じゃない。

私の目から見て春樹くんにはひとつ、決定的な穴があった。
できれば、それを教えてあげたい。
ちょこっとだけ時間とって話せたらって思うんだけど、問題はーーー

「・・ねえ、春樹くんのコトなんだけどさ」
私がそう言うだけで、鋭い加瀬くんはもう何かを察知して殺気を漂わせはじめる。
「オマエ、何言う気?」
「ああ、えっと・・ナンデモアリマセン」