それから春樹くんは少しずつ変わりはじめた。
とは言え性格自体は早々変わるもんでもないから、ひねくれてんのはそのまんま。
だけど、春樹くんは随分素直に、そして優しくなった。

念の為、一応聞いてみる。
「春樹くん、その優しいのってお芝居? 何か企んでんの?」
そしたらムッと顔をしかめた春樹くんが腹立たしそうに私を睨む。
「芝居なワケねーだろ。ホントに優しくしたくてやってんの! 悪い!?」
春樹くんはいたってマジメで真剣だった。

「オレ性格悪いからさ、自分のこと全然好きじゃねーんだ。だけどね・・」
ゴミ袋をしばる手を止めて、パンパンの黄色いビニール袋をみつめながら春樹くんがじっと何かを考える。
「どんな男になりたいかって考えたら、オレ、優しい男になりたくて」
「ウン」
「それっぽいフリすんじゃなくて、ホントに優しい男になりてーの」
そう言って、春樹くんは照れくさそうにはにかんだ。