「あーあ。じゃあ、小宮山のオネダリも聞かれちゃったなあ・・」
って言ったら小宮山が更に頭を抱えた。
「そーなの。それ言われた・・! 恥ずかしくて死にそう!」

ハルキと話してた時は、割と冷静にできてたらしい小宮山。
だけど、ハルキと別れて大通り歩いてるうちに、恥ずかしくてたまんなくなったらしい。今は穴掘って埋まりたいって言ってる。

「それだけじゃないよ・・加瀬くんが触りまくるから、何聞かれてるかわかんないじゃん!」
「小宮山、ヤラシイ声がちょこっと漏れちゃうもんね?」
「ギャーー、今それ聞きたくない!」
「へへへ」
狼狽えっぷりが面白くて、ついつい笑っちゃうオレに小宮山がブチ切れた。
「笑い事じゃないっっ! 誰のせいだと思ってんの!」

まあね。オレのせい。
だけど、オレは悪くない。
立ち聞きしてたアイツが悪い。
んでも元はと言えばーーー

「アレねだったのオマエだぞ?」
「そ、それはそーだけど・・」
小宮山が恨みがましい顔して俺を見る。
「ちょこっとキスしてくれればよかったんだよ」
「・・そんなのムリだし、オレ」

だけどもう今更どうしようもない。
やさーしく手え握って小宮山に言い聞かせる。
「気にすんなって。オレだってオマエに好き好き言いまくってたろ? アレを男に聞かれんのは、さすがにツライ」
「加瀬くんでも恥ずかしいコトがあんだね」
「当たり前だわ!」