「ゴメン、聞いちゃった。すみれちゃん案外甘え上手だね?」
やっぱり!!
恥ずかしさのあまり意識がフッ飛びそうになる。
「それに加瀬くんて顔に似合わずピュアで奥手なんだね?」
「かっ、加瀬くんがピュアで奥手・・??」

ーーーんなワケないでしょう。とんでもない誤解だ。
だって実際のところは、キスがまだってだけで手なんか出しまくられてる。

キスは待ってねって約束を律儀に守ってくれるから、のんびりと安心しきっていたある日、いきなりそれは始まった。
あ、って思った時にはもう遅くて、本当にダメなとこ以外、片っ端から全部触られちゃったのだ。本人曰く、点検。

基本、加瀬くんはヤラシイし、手が早い。
けしてイヤじゃなかったけど、想像の遥か上をいくアレコレに言葉を失って呆然としている私の様子が、加瀬くんの目には『諾』と映ってしまったらしい。
それ以来、エッロい加瀬くんに必ず触られる。キスだけが宙ぶらりんに、手つかずのまま。

「すみれちゃんに加瀬くんの手垢がついてないなんて奇跡でしょ!?」
「・・・」
「オレ、絶対にさっさと立ち直る! だから、すみれちゃんはキヨラカなままでいて!」

言うだけ言ったら、春樹くんはスパッと帰って行った。
なんだかすごくスッキリとした顔をして。