坂川駅の裏側に出て、少し歩くと海が見えてくる。
眺めのいいベンチに座って、熱々のホットサンドの包みをあけた。
「うまそう〜!」
ホカホカの湯気と美味しそうな匂いにつつまれて、加瀬くんが歓声をあげる。
ホットサンドを頬張りながら、久しぶりにゆっくり海を眺めた。

「夜の海ってキレイだね・・」

日の暮れかけた濃い青の海に、遠くの船の灯りがポツポツと揺れてる。
加瀬くんが、視界の右奥の方、光がギュッと密集してキラキラ輝いてる一角を指差した。

「あのへんが工場夜景見れるあたり。見に行ったことある?」
「んーん、ない」
「すっげーキレイだぞ。ここからじゃ見えねえけど」
「そーなんだ。見てみたかったなあ。残念」
私がポロッとこぼした言葉を加瀬くんが拾いあげる。
「んじゃ、連れてってやるよ。オレが免許とったら一緒にあれ見に行こーぜ?」
「免許?? っていつ取るの?」
「来年か、再来年」
「・・・」