奥へ下がろうとするハルキを無理矢理引き止めて絡みまくるオレのところへ、水とメニューを持ったマナがやってきた。

「来た来た。いらっしゃーい」
そしたらマナと入れ替わるようにしてハルキがカウンターの奥へ引っ込んでしまう。
「あーくそ、逃げられたじゃねえか。ジャマすんなよ!」
「もうっ、ホンっトに相変わらずなんだから!」
嫌そうに顔をしかめたマナが、水の入ったグラスをオレの真ん前にガンって置いた。

「だいたいなんなの、その頭にタオルでも巻いてそうなカッコは! もっとマジメな気持ちで来店してくれる!?」
「うるせーな、バイト帰りなの!」
「ダッサ」

ああ、ムカつく。

「オイ、なんでハルキがいんだよ。オレ、聞いてねえ」
「そりゃそーでしょ。すみれにも言ってなかったんだもん」
さっきまでの不機嫌をひっこめて、マナが嬉しそうにひそひそと声をひそめる。
「驚いたでしょ。アンタが来るの待ってたんだから。ウフフ、加瀬くんにサプライズ」
「いらねえ、全然」