ウンて言って、小宮山

だけど。
いざお化け屋敷の中に入ってみれば、オレにしがみついてきたのは小宮山のほうだった。
つっても腕絡めたり、手えつないだりなんてするわけじゃない。
背中に回り込んでオレを盾にして歩いてる。
「なんで後ろ行くんだよ。一緒に歩こーぜ」
「ヤだよ、無理。お願いだから前歩いて!」
小宮山は頑としてオレの後ろから出てこない。

ーーーま、いっか。これはこれで。

オレが想像してたのとはちょっと違うけど悪くない。
なんだか頼られてる感じがして気分がイイ。

せっかく小宮山が背中にくっついてんだからと思ってゆっくり歩いてたら、
「加瀬くん、遅いよ。もっと早く歩いてよ」
って早く外に出たい小宮山に急かされる。
「背中にはりつかれてて歩きにくいの! イヤなら小宮山が前歩けよ」
「それはイヤ!」
オレのシャツ握りしめて慌てる小宮山は、やっぱオレの背中に張りついたまま動かない。

ああ、可愛い。
やっぱり連れてきてヨカッタ。

お化け屋敷はいろんな意味ですげー楽しかった。
出口を抜けて、オレの隣に戻ってきた小宮山に聞いてみる。
「どうだった? やっぱ怖かった?」って。

「んーん。加瀬くんが前にいてくれたから怖くなかったよ」
「・・そ、そう」

たいした意味なんてない。
そんなのわかってるはずなのに、いちいち胸がぎゅってなる。

「なあ、まだ時間ある?」
「ウン。大丈夫だけど?」
「じゃあさ・・」

***