そのすぐ後に、マナと入れ違うように席についた春樹くんが声をかけてくる。

「ねえ、すみれちゃん。加瀬くんに内緒で話せない?」
「内緒!? 冗談じゃないよ、絶対にムリ!!」

加瀬くんの脅し・・もといお灸が効きすぎた私は、容赦なく春樹くんを切り捨てる覚悟をすでにガッツリと固めていた。

「悪いけど春樹くん、自力で頑張って。遠くから応援してるから」
「うっわー、もう手のひら返すわけ? 冷っってえ」
「なんとでも言って」

別れるって言われてホントに怖かった。
もうアレが相当にトラウマ。

「とにかくゴメン。加瀬くんにフラれるワケにはいかないの」
そしたら春樹くんがそんな私を鼻で笑う。
「加瀬くんがすみれちゃんのことフるわけないじゃん。アレじゃあ土下座して頼んだって別れてくれねーよ」
「アレじゃあ、ってどーゆうこと・・?」
「あーっと。・・ナンデモナイ」

春樹くんは、
「あーあ。めんどくせえな、加瀬くん。アイツなんとかならねえかな・・」
ってつぶやいて向いたのだった。