そんな空気の中、ふいに小宮山が口を開いた。「加瀬くん、アレしてよ」って。

「アレ??」
「不安がなくなるやつ」
って言って小宮山がじっとオレを見る。
「ええっと・・だっこ?」
「・・じゃなくて、その後のやつ」
小宮山のほっぺがじわあってピンク色に染まった。

「・・ってそれ!! オマエ、まさかのオネダリ!??」

不意打ちくらって硬直するオレを見て、小宮山がシマッタって顔して下を向いた。これでもかってほど頬を赤く染めて。
「だって言ったよね? 不安、全部なくしてくれるって!」
「ハイハイ、言った言った。ウソじゃねえよ?」
「なら、なくしてよ。今が腕の見せ所じゃん・・」
うつむく小宮山の腰をきゅっと抱いて、頬に手を伸ばす。
「いいよ。んじゃ、コッチむけよ。不安、ぜーんぶなくしてやるからさ」
なんつってカッコつけてみてから、オレはすぐにそれを後悔した。

あーダサい。

ハルキならまだしも、オレがこんなこと言ったってキマんない。