「わかった」って残念そうな顔して頷く小宮山に、オレはむっと腹が立った。

その顔!!
わかったって顔じゃねんだわ。
いっぺん鏡見てこい、バカ! ・・ってオレは思った。

小宮山はオレの気持ちなんか全然わかってくれない。
ハルキに・・オレ以外の男に必死になってほしくない。
たとえそれが恋じゃなかったとしても、ちゃんとした理由や事情があったとしても関係ない。なんであれ、オレは嫌なのだ。

もうオレの胸の中は、不安と不満でパンパン。
それでついオレは、ポロッと心にもないことを口走ってしまう。
「そんなにアイツが気になるならもう別れる」
「・・・・エ? わ、別れる??」
オレは小宮山からプイッと顔を背けて意地を張った。
「アイツと話したいならオレと別れてからにしろよ」
「!!!」

小宮山は真っ青。
「ヤ、ヤだ。ゴメン。別れたくない・・!」
涙目の小宮山が慌ててオレの胸に飛び込んでくる。

オレ、意地は張るくせに、必死ですがりついてくる小宮山のことは腕広げてありがたく受け入れちゃう。
いつもと同じ、やーらかい小宮山。
はあ、気持ちイイな・・って思ったところで、途端にオレは正気を取り戻した。

やべえ、とんでもねーこと言っちゃった・・!

本当は怖くて意地なんか張ってらんない。
小宮山泳がせて気持ち確かめるとかオレには絶対にムリだから。
今度は大慌てでオレが小宮山にすがりついた。
「ゴメン、嘘。別れる気なんかナイ。お願い、オレんとこにいて」
「ホ、ホント??」
「絶っっ対別れねえ。土下座で頼まれたってヤだ」
「よ、よかったああ・・」