「疲れた・・」
ハルキを部室から追い出した頃には、オレはもうヘトヘトだった。
「くっそ、アイツ・・しつけーよ!!」
なんでこんなに、いつまでもいつまでも小宮山の周りをウロチョロできるのかーーー前々から気になってたことを小宮山に聞いてみる。
「オマエ、アイツのことちゃんとフッてくれてんだよな?」って。

ところが。

「私、春樹くんに好きって言われたことなんかないよ」
「え・・ない!?」
「ウン」
「一回も??」
「ない」

「ど、どーゆうこと??」

あんだけズカズカ割り込んできて小宮山にまとわりついてたくせに、ハルキは小宮山にひとことも好きだとは言ってないらしい。

「じゃあアイツ、この後に及んでもまだ決定的にはフラれてねーってこと!?」
小宮山が気マズげに、なんとなーく目を泳がせる。
「好きな子には、キチンと立ち直ってから好きって言いたいんだって」
「あっそう」
つきあう前の小宮山を彷彿とさせるようなセリフが腹立たしい。

「アレ?・・ってことはアイツ、立ち直っちゃったら今度こそオマエに告白しに来ちゃうわけ!?」
「さ、さーね。どーだろ・・」

「くっそー、いつまでコレが続くんだよ!!」

ついでにもうひとつ気になってることを聞いてみる。
「なあ、さっきなんで泣いてたの?」
「ああ、あれはねーーー」
小宮山が泣いてたのは、立ち直りたいって言い出したハルキの様子に胸を打たれちゃったのが原因らしい。
「昔のこと、思い出しちゃったらつい、涙がぐわーっとさ・・」
遠い目をした小宮山が鼻をすする。

ーーーコイツらが難しいのはこういうとこなのだ。

恋愛絡みじゃない部分に、やたらぶっとい繋がりがあるところ。
それはたぶん、オレが思ってるよかずっとずっと、ふたりのことを深く結びつけてる。