「オレ、オマエに言ったよね? こーゆうことすんなって!」
「そんなもんは知らねえってオレも言った。加瀬くんにオレのことアレコレ言われたくない」
「ハアア!??」

そしてオレらは前回と全く同じやりとりを繰り返した。ホームで話したあの日だって、オレらの議題は最初から最後までコレひとつだった。
相変わらずしゃあしゃあと言い返してくるハルキは、今日もやっぱり取りつくシマもないほどに図々しい。

「なんなの、オマエ!? いい加減諦めろよ、人のモノに勝手に手え出しちゃダメなの! それが社会のルールだろが!」
「そんなの知ってる。だけどオレーーー」

立ち直る方法が知りたいんだってハルキが言う。それをどうしても小宮山に聞きたかったんだ、って。

「だからさ、ちょっとだけでいいからすみれちゃんをオレに貸してくれない?」
「こ、小宮山を貸せ!??」
ハルキのトンデモ発言に本気で耳を疑うオレに、やつはしれっと頷いてみせる。
「頼む。貸してくれ」

「〜〜〜貸すわけ、ナイっっだろ!! 自分の彼女、他のヤローに貸し出す男がどこにいんだよ!? 絶っっ対にイヤ!!」

だけど、オレがキレて怒っても、なんだかんだ色々言ってやっても、ハルキは諦めない。おっそろしくシツコく粘り続ける迷惑なイケメンを、オレはムリヤリ部室から叩き出した。

「とにかくダメ!! でもって、もう二度と小宮山に近づくな!!」