まずはそんなことを少しだけ話してみた。
そしたら春樹くんが恨めしそうにジロリと私を見る。

「だからオレじゃダメなのか。オレじゃすみれちゃんの足ひっぱるだけだもんね?」
「いや・・別に足ひっぱるとか、そーゆうコトじゃ・・」

自虐的な微笑みを浮かべていた春樹くんが、今度は冷えた目をして私の顔を窺う。
「ねえ、もしかして加瀬くん選んだのって打算?」
「そんなわけないでしょ! 好きだからだよ」
「ホントかなあ。だってアイツ、すみれちゃんにとっちゃスゲー都合のいい男じゃん。オレらに欠けてるモノを当たり前みたいに持ってる」

「ーーーそうなんだよね。キラッキラしてるんだよねえ、加瀬くんって・・」

私には、ただ、彼がまぶしいのだ。
彼氏って形でそばにいてくれるようになった今でも、加瀬くんはずーっと私の憧れの男の子のまま。
けして打算などではない。

が、しかし。ドキドキと頬を染める私を、春樹くんはフンって鼻で笑った。
「そんなのアイツのオコボレがほしくてつきあってるだけじゃねーか。加瀬くんの尻にぶら下がってるだけだろ」
「オ、オコボレ・・!? ぶら下がるってーーーひっど!!」
相変わらず口の悪い春樹くんの言葉はいちいち私の胸をえぐった。こんなふうにダメージ受けちゃうってことは、もしかしたら無意識にそういう側面があるのかもしれない。だけどね・・

「ヘンな意味にはとらないで。加瀬くんが好きなのはホントにホントのことだから」