その翌日も、私はあの空き部室で加瀬くんを待つことにした。

部室に入ってすぐ、室内にこもった熱気を逃がすために片っ端から窓を開けていると、背後でガラリとドアの開く音がする。
そこに立っていたのはなんと春樹くんだった。

「あっつ。ココ、蒸し風呂じゃん」

シャツの襟に指をひっかけてパタパタと襟元を扇いでいる春樹くんは、しばらく目も合わせてなかったとは思えないくらい、ごく普通。
「どどど、どーしたの春樹くん。なんでここに!?」
「すみれちゃんの後ついてきちゃった」
へへへって可愛らしく笑ってみせる春樹くんに、私は思わず頭を抱えた。

「・・春樹くん、あのねえーーー」
「わかってる。でも用事があんの!」

口を開きかけた私を制しながら、春樹くんは適当にそこらへんの椅子をひいてすとんと腰かけた。

「ねえ。すみれちゃんの秘密をオレに教えて」
「秘密うう?? なにそれ」