そんなことを考えていたら、いつの間にか背後がしーんと静かになっている。

「アレ?? どうしたの?」

加瀬くんは私の肩に顎をのっけたまま、会議用テーブルに置きっぱなしになってる雑誌を凝視していた。
私が宿題サボってだらだら眺めてたやつだ。
女子にしか需要のなさそうな雑誌なのに、いったいなぜ??

「もしかして興味ある? これ見たいの?」
って雑誌に手を伸ばそうとする私をぎゅっと睨んで加瀬くんが指差したのは、表紙を飾るイケメン俳優〇〇〇〇だった。
「このハルキに似てるやつ!! オマエ、やっぱこいつのファン!?」
「ーーーエ!??」

誓って言うけど、たまたまだ。
だけど私が「そうじゃない」って否定するよりも先に、加瀬くんがグズグズと的外れな不安を漏らし始めてしまう。

「くっそう、いつ見てもハルキそっくり!! オマエもこーゆう顔が好き!?」
じっとりと重たい視線を送られて私は慌てた。
「違う! 言っとくけどコレ、表紙見て買ったわけじゃないからね? ホントだよ?」
「・・・・ふうーん」

いかにも信じてないって雰囲気をドロドロと漂わせて、加瀬くんはムスッと口を閉ざしてしまう。
怒ってんのかなあって思ったら、そうじゃなかった。
意外にも加瀬くんはめったに見せない暗ーい顔してションボリとうつむいている。おまけに彼のみつめる視線の先には、いまだに春樹くんにそっくりな〇〇〇〇がいて・・